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H3-VR関連だぜ

録音のプロとしてH3-VRを使ってきたので、久しぶりにレビューを足してみよう。というか、H3-VRのアクセスが多いので、それにお応えします。

音質・感度とも最高

まず、音質と感度だが、非常にいい。マイクの電気ノイズ(ホワイトノイズ)は皆無で、感度も非常にいい。プロの三味線の演奏を録音したことがあるが、微妙な皮の響き、サワリの音(弦の倍音を強調する機構)もバッチリだった。同時に端唄の歌声も非常によく録れた。

つまり、マイクの性能がいいということである。ただ、マイクの性能というのは、カメラのレンズ選びに似ていて、万能ということはない。例えば、このVRマイクで遠くの音だけに的を絞って録ることは難しいし、部屋の残響が大きい場合には、立体感は損なわれてくる(音が周囲から回ってくるから)。ただし、後で説明するが、再生アプリで音のフォーカス位置を変えられるので、これは画期的だ(後述)。

ボディーが非常に可愛いので、ステージ上に置いても映像の邪魔にならない。これもこのマイクのメリットである。

会議で録音するのにもいい。完全な無指向性なので、どこからの音も同じ音質で録れるからだ。

立体録音の性能も非常に良い

さて。気になる立体感だが、実は何で聞くかで体感の立体感は異なってくる。これは数十万円のマイクであっても同じだ。

このマイクにはジャイロが組み込まれていて、マイクの角度も音声ファイルに記録されている。つまり、マイクのセッティングが非常に楽で、適当に設置しても、再生時には正しい角度(地面との角度)で聞くことができる。具体的に言えば、ジンバル付きのカメラ(例えばOSMOなど)と同じで、マイクがどの角度であっても、音は水平を保つのだ。もし、ジャイロがなければ、マイクを斜めにして録音すると、再生時にも音が斜め方向から聞こえてきてしまう。
人間の耳の形のVRマイクを斜めにしてしまったら、後処理が大変なことになってしまう。つまり、他のVRマイクの場合には、完全な水平を保って録音しなければならないということで、これは録音現場では時間がかかる原因になる。

立体音響の性能も非常に良い

さて、実際の音だが、H3-VR-VRにヘッドホンを接続した時に、ステレオ音声かバイノーラル 音声かを選ぶことができる。また、パソコン上では再生アプリで、同じようにステレオかバイノーラルかが選べるし、ファイル書き出しでも、同じくステレオかバイノーラルかを選べる。

バイノーラルはヘッドホン(VRヘッドホンならベスト)で立体音響をきく技術だが、H3-VR-VRは非常に良好なバイノーラル音声で録音できる。H3-VR-VRは再生時にもジャイロが働くので、例えばH3-VR-VRを頭の上に置けば、顔の向きに応じて音の向きも変わる。つまり、下を向けば下の音、振り向けば後ろの音というようにリアルタイムに変化する。高価なVRヘッドセットが無くても立体音響がH3-VRで楽しめるのだ。

一方のステレオ音声だが、これはスピーカーで聞く場合の音声形式となる。こちらは2つのスピーカーで立体音響をシュミレートするもので、もちろん、後ろからの音は後ろっぽい音になる。

H3-VR-VRのファイルを5.1ch音声へ変換すれば、当然のことながら後ろの音は後ろから聞こえてくる。5.1chへの変換は映画のサウンドで使われるわけだが、映画の現場でH3-VR-VRで録音するには、マイクをどう隠すかなど、課題が大きい。これはH3-VR-VRに限った場合ではない。一般的にはほとんど使われないだろう。

VRカメラとの連携

リコーのThetaなどのVRカメラとの連携も楽だ。標準でVRカメラに取り付けるマイクアダプターが付属していて、VRカメラと連携して録音することができる。つまり、カメラとマイクの向きや角度が固定される。これを専用アプリで立体音響ファイルとVR動画を合成することで、VRヘッドセットやスマホ+ヘッドホンによって、顔の向きに応じて映像と音声が移動する。

余談がだ、別売のDA-1というBluetoothユニットを使うと、遠隔からH3-VRをコントロールすることができる。音声は送られて来ないのが残念だが、録音レベル調整や録音の開始停止、再生開始などができる。レベルメーターやカメラの角度も表示される。音は別途に安いBluetooth送信機と受信機(共に2000円弱)で送ればいいので、遠隔録音ができる。

専用アプリは便利だ

さて、H3-VR用の再生編集アプリは非常に便利だ。適当な向きで録音した立体音声を再生時に好きな向きに変えて聞くことができる。つまり、音のフォーカスを変えられるのだ。
例えば、円卓で会議をしている場合、喋っている人にフォーカスを変えて聞くことができるのだ。ただし、後ろの人の声が聞こえなくなるのではなく、フォーカスした人の声がオン(はっきりとした音)になり、後ろの人はオフ(遠くに聞こえる)ようになる。

まとめ

2020年9月現在、2万円代で買える。これは素晴らしい。Zoom H8というレコーダーが発売になったが、これ用にVRマイクも発売されている。おそらくH3-VR-VRと同等の性能だと思う。

現在のところ、これほど簡単で高音質のVRマイク(レコーダー)は他にないと思う。

久々にDM30でドラマ台本のココロだ

最近は、小さなバッグひとつで撮影現場に行くことがほとんどで、その中にはラジオ収録ができるだけの機材が入っているんだ。
メインは、放送用インタビューマイクSM63(短い方)と小型レコーダーDR-10X(マイクに直接刺すレコーダー)。このセットがあれば、どこでも放送品質のインタビューができる。
さらに、現場の音を録るためH3-VR(立体音響マイク)でその場の臨場感を収録できるようになっている。そしてもう1つがiRig Pro I/OでiPhoneなどのオーディオインターフェースと、2mmφの極細ケーブルを使ったXLRケーブル。これはiPhoneやiPadで音源編集するときの音声の入出力ユニットで、ゼンハイザーのマイク416などをiPhoneに繋げたりして、映画の録音部レベルの収録に使うユニットだ。そして映画の現場の時にはその416と風防、マイクグリップをカバンに入れている。
そのカバンはA5サイズ、かなり小さいが、上記の機材が全部入ってしまう。通常はそのカバンの背にiPad Pro 12.9″(A4サイズ)を入れているんだけど、当然、半分しか入らない。

GWは台本執筆、で、DM30の登場!

もうすぐGWだ。そこで荷物をもっとコンパクトにして執筆旅行などしようかと思う。そこで原稿書きをしたくなって、DM30を使うことにしたぞ。

折りたたんだ状態のDM30は、ちょっと厚みがありすぎるけど、まぁ、カバンに収まった。DM200でも入りそうだけど、横幅は少ないDM30の方が、カバンに収納の余力ができるので、こちらがいいかな。

ラジオドラマ台本をDM30で書く

さて、DM30の欠点はアウトライン編集が非常に遅いこと。ATOKが非力であることだ。つまり、書籍サイズの文章には向かない。ブログ程度の文章であれば必要十分だ。シブがき隊のふっくんとのラジオで、ラジオドラマをやろうと思っているので、その台本をDM30で書いてみることにするぜ。

DM30は、文字コードが非力だったぜ

さて、もともと短編小説としてKindleで売っている人気作品がああて、『たった一人で地球を愛する男の話』というんだけど、これをドラマ台本に書き換えようと思った。そこでDM30へ入れると、あらら、そうか、世界標準になっているUnicodeが使えないのね、日本ガラパゴスのShift-JISじゃないと文字化けしちゃう。
そこで、昔ながらのテキストエディターをMac上で立ち上げて、Shift-JISで保存し直し。DM200ならそのまま編集できるんだけど、DM30はDOSマシンレベルなので、まぁ、仕方ないね。

ラジオ台本レベルにはDM30はちょうどいい

ラジオ台本というのは、結構、短い台本だ。ちなみに普通の長編小説だと、例えば夢枕獏さんの『サイコダイバーシリーズ』なら1冊9時間の朗読になる。短編で400字20枚なら20分程度。つまり、ラジオドラマって、15分〜20分程度なので、短編小説サイズということになるよね。
その程度のサイズであればDM30で十分に執筆・編集可能だ。長編小説だとDM200じゃないとちょっとパワーが足りないんだ。

余談だけど、台本の枚数と作品時間は、映像の場合200字詰原稿用紙に台本形式で書くと1枚30秒、普通の原稿の書き方にすると1枚40秒という計算。映像は動作や景色が入るので文字数に比べて作品尺が長くなる。ラジオドラマも効果音が入るのでちょっと伸びる傾向があるんだけど、例えば『〜と言いながら悲しそうにうつむいた』というのは、朗読ならそのまま読むけど、ドラマだと、セリフで悲しそうにしゃべるので、ト書きは「と俯いた」と短くなるんだ。セリフの中で心情を表現できるので、朗読劇よりは短くできるし、映像よりもかなり短く表現することができる。
つまり、ラジオドラマは、朗読劇や映画よりも、同じストーリーをコンパクトにすることができるんだ。

ということでDM30にご活躍いただこう。


H3-VRアップデート!Ver 2.00

ZOOMのH3-VR-VRのファームウェアが2.00にアップデートされたよ。各種のバグ修正と機能追加ですな。
主にBluetooth機能が強化されましたぜ!

外部タイムコード(Bluetooth経由)記録が追加された

すげぇなぁ。外部のタイムコードと同期というかタイムコードをwavに書き込めるようになったのだ。Timecode Systems社のUltraSync BLUEっていうユニットを使って、H3-VRにタイムコードを送り込むんだ。
大きな撮影現場では、複数のカメラの同期をタイムコードで行う。まぁ、パソコンで編集するなら必要ない気もするんだけど、完璧なシンクロが必要とされる場合には、なくてはならない機能だ。多分、アメリカのドラマなどで使われるんじゃないかな。

オーディオIF時をH3-VR Control(スマホアプリ)で切り替え

パソコンへダイレクトに音声を流し込むオーディオIFのオン・オフをスマホから行えるようになった。本体のボタン操作がかなり面倒なので、この機能もちょっとだけありがたい。

Bluetooth機能の切り替え

アップデート(Playボタンを押しながら起動)すると、初期画面が変わるんだ。Bluetoothユニットが刺さっていると、起動時に「H3 Control」か「タイムコード」かの選択画面が出る。毎回出るので、うざい。基本的にはどっちか使わないんだから、システム設定で選ぶだけで、起動時は前回と同じでいいじゃん。現場でいちいち設定しなければならないので、うざいうざい。

バグ修正

ファームウェア1.00にはバグがあって、これはサポートも認めていたよ。リミッターオンでバイノーラル再生にしていると、起動時のSDカードチェックにハングアップするんだ。僕も何度もハングアップしてサポートに電話、すると、リミッターをオフにするか、バイノーラルじゃなくてステレオ再生にすればハングアップしないと教えてもらった。現場ではステレオ再生でOKなので、僕はその設定でこれまでやってきた。

今回のVer.2.00になって、そのバグも修正された。起動も若干早くなったみたい。でも、DTA-1(Bluetoothユニット)が付いていると機能選択画面が出るので、むしろ起動が遅くなっちゃったので、現場ではイライラするぞ、うざいうざい。
現場では、スマホからマイクゲイン調整をすることが必須なので、基本的にはH3-VR-Controlしか使わないんだけどなぁ。

三味線の音は録り易いのココロだ

先日、端唄の集まりで、新兵器の立体音響H3-VRで録音したんだけど、楽にいい音で録れましたね。楽器と唄とあるので、普通は唄と楽器は別に録る方がベターなんですが、適当に(というか経験的にいい感じに)セッティングしただけで、後は遠隔で音も観測しぜに録音したのですが、いやぁ、すごくいい音。こんなに楽なマイクは、本当に初めてですね。

端唄の名曲:三下りさわぎ『恋はパクパク』バージョン

先日も書きましたが、作詞した端唄向けの歌詞を三下りさわぎで、芸者衆も交えて唄ったのですが、いやぁ、素敵素敵。本当にノイズレスですね。
ラジオで放送したら、ここにも公開したいと思います。

三味線の音は人の声に近い

さて、録音しやすかった要因は、何と言っても三味線の音が人の声に近い周波数成分だからだと思います。録音ではドラムが非常に難しくて、低くて大音量のバスドラムがあったり、超高音のシンバルがあったり。ですから、ドラムを録音するには、それぞれ違うマイクで録って後で音量を調整したりします。
そういう意味では三味線は、簡単。極端に大きな音は出ないし、小さすぎる音もない。
つまり、日本の楽器は、シンプルでいいなぁのココロでした。

H3-VRのBluetoothユニット到着、便利か?

立体音響マイクのH3-VRに通信機能を持たせるBluetooth Adaptor BTA-1が到着。USBのBluetoothユニットかと思ったらZOOM社独自仕様のコネクターなのだ。
写真のように、ちょいとむき出しなので現場で心配だなぁ。落としてここをぶつけたら中身が壊れそうな気がする。

接続は簡単でアプリもシンプルで操作性がいい

このBTA-1を付けると、スマホのアプリからH3-VRを操作することができる。H3-VR本体でのせって変更は横並びの小さなボタンを押しまくるので面倒なんだけど、アプリの操作は非常に快適だ。できることは本体とほぼ一緒だ。このユニットを付けていると、H3-VRの起動時に砂時計マークが出る。ユニットの初期化などをやっているんだろうね。その分だけ起動が遅くなるけどね。
H3-VRから離れた場所から録音の開始・停止ができるのは便利で、なおかつ、本体を触らなくていいので、触った時のタッチノイズが入らないのも助かる。

音も飛ばしてくれたらなぁ

遠隔で操作できるのは有難いものの、肝心な音は無線で飛んで来ない。音まで飛ばしてくれれば完全なリモート収録ができるのになぁ。
これはZOOMのF8nでも同じで、この高性能レコーダーもアプリを介してスマホやタブレットで遠隔操作が可能だ。しかし、音は飛んで来ない。
まぁ、音だけなら別に無線の送受信機を付ければ済むので、プロの現場ではなんとかなるけどね。

絶対に必要かどうかは、意見が分かれるよね

このBTA-1は、別売りオプションなんだけど、まぁ、確かに必須の機能じゃない。というのも、一度セッティングしたら後は録りっぱなしなので、普通は必要ないかもしれないっすね。
でも、一番素晴らしいのは、録音中にマイクゲインを自由に変えられること。しかも、マイクに触る必要がないので、上記のタッチノイズも気にしなくていい。
ライブ演奏などで、マイクをセッティングした後、演奏が始まって音量がリハーサルと違うなんてことはよくあることなので、それを遠くからピークメーターを見ながらゲイン調整できるのだから、そりゃ有難い。しかも、録音中にアプリを閉じてもH3-VRは録音を続けるし、後からアプリを立ち上げても、自動的に再接続してくれる。もちろん、アプリの切断・再接続でノイズが入ることはない。

ということで、小生はBTA-1を買って正解だと思っているぞ。

H3-VRレビュー(2)喫茶店で環境音を録る

千葉の中途半端な田舎町の駅前ですが、SEIKODOという喫茶店があり、ここのコーヒーが非常に美味しいのですよ。もちろん自家焙煎、店主の気合が伺える。ここでH3-VRのテスト中なんだ。

H3-VRを持ち出して遊び中

店中、焙煎機の音であふれている。BGMは小さめ。
ここで環境音の録音テストをしている。
どのくらいのゲイン(マイクボリューム)がいいのか、キーボードを叩く音とのバランスなど、映画の録音を想定して実験中。

H3-VRは机の上に置いて録音しても気にならないね

さて、実際に録音を始めているけど、なんとも言えない可愛いボディーなので、みんな気にならないみたい。アロマポットみたいに見えるなぁ。
これまで、いろいろなマイクを使ってきたけど、これほど環境に馴染むマイクも珍しいですね。
普通のマイクは、棒状なので、録る向きが気になるというか、マイクを向けられている方向が分かっちゃうので、それが場の空気を緊張させるんだけど、H3-VRは全然大丈夫だなぁ。これもマイクとしては面白いと思いますね。

H3-VRは本当に人間の耳で聞いているのに近いぞ

さて、環境音をいろいろ録ってみて感じているのは、人間の耳で聞いているのに本当に近いということ(バイノーラル再生)。おそらく、ノイズレスだからだと思います。
マイクゲイン(マイクボリューム)をどのくらいにするかが、録音の最重要なポイントなのですが、ノイズが少ないので、環境に応じた好きなゲインにできるのが嬉しいですね。
他のZOOM製品のマイクゲインは、ボリュームのメモリで6〜7割くらいが美味しいのですが、たぶん、このマイクもマイクゲインで60〜70がいいのでしょうねぇ。60だと環境ノイズが-36dB以下になるので、編集時に取り除くのが楽です。この状態でマイクから50cmでの人の会話がピーク-6dBくらいになるので、ちょうどいい感じです。
上の写真はゲイン80と相当大きなボリュームになっていますが、自然な感じで録れています。

H3-VRは自立するのがいい

さて、実施に街中で使っていて一番良いと思ったのは、マイク自体が自立しているということです。普通のバイクだとスタンドが必要だし、マイク付きレコーダーでもやはりスタンドが必要です。これが意外に人の目を引くのと、録音の妨げになります。先ほども書きましたが、マイクの方向が録音には重要になるので、何を録るのかをはっきりさせないといい音が録れません。しかし、H3-VRの場合には、ただ机の上に置いておくだけでなんでも綺麗に録れます。狙いは後(編集)で決めればいいのです。これは非常に有難い!

H3-VRレビュー(1)

立体音響(アンビソニック)マイクのH3-VRを一晩使ってみて、とりあえずのレビューです。

低ノイズで高感度マイク

まず、さすが最先端のデジタルマイクだけあって、これまでのアナログ音響機器とは比べ物にならないほどの低ノイズ&高感度なマイクになっているぞ。アンビソニックじゃなく、普通のステレオマイクとして使っても遜色がない。これは放送品質というか、映画の録音でも、他の名機と呼ばれるマイク+レコーダーに負けない品質だと思う。それが3万4千円なのだから、いやぁ、びっくり。

H3-VRは、収録後にマイクの向きを自由自在に変えられる

映画の撮影現場でも活躍しそう。例えば2人の役者が向かい合って会話するシーンで、二人の間にH3-VRを置けば会話が綺麗に録れる。それだけなら普通のマイクと同じなのだが、H3-VRは編集時にマイクの向きを変えられる。これがすごい。
これがなぜ良いかというと、映画のロケ先では、スタジオと違って様々な環境音が溢れている。エアコンの音だったり、屋外の自動車だったり、工場が近いと唸りが聞こえるし、飛行機も来る。
そんな状況で無指向性のマイク(全方向からの音が録れる)には、そんな雑音がどんどん入っちゃう。だから、映画の現場ではショットガンマイクという狭いエリアだけ録れるマイクを使うんですよ。エリアが狭いから雑音も減るわけです。でも、エリアが狭いから、上記のような2人の会話だと、台詞ごとにマイクの向きを変えないといけない。これが結構大変で、職人芸になるのです。
でも、H3-VRならマイクを固定しておいて、編集時に喋っている方へマイク方向を変えれば良い(音のフォーカスを合わせるって感じ)だけ。まぁ、編集が大変になるわけですが、実際には大したことはないですな。

H3-VRのファームウェアに不具合あり=メーカー開発中(2019/03/08現在)

さて、出たばかりのH3-VRですが、ファームウェアにバグがあって、起動時にハングアップすることがあります。これはメーカーに確認済みで、現在、ファームウェアの調整中とのこと。近いうちに改良版を出すそうです。

どんなバグかというと、設定項目『リミッター=オン』かつ『(再生時)バイノーラル=オン』になっていると起動時にハングアップすることがあります。僕もなんどもハングアップして、メーカーに問い合わせて、上記の回答をもらいました。SDカードを刺さなければハングアップしない気がしますけどね。
何れにせよ、メーカーが修正中なので、待ちましょう。大したバグじゃないので。

立体音響マイクZOOM H3-VRを買ったぞ

衝動買いに限りなく近いのですが、映画録音部の桜風さんが、ZOOM H3-VRを購入。
夕方に届いて、ちょっとずつテスト中です。

立体音響って何だ?

ZOOM H3-VR わずか120gで手のひらサイズ。これで様々な形式の立体音響の録音ができる。ノイズも非常に少なくマイク感度も上々だ。

立体音響というのは、映画館で耳にする、音が空中を移動したり、耳元で囁く音が聞こえたり、後ろで物音がする、なんていう音の世界のことだ。映画では5.1chサラウンドというのがあって、もう、古くから使われてきている。ビデオカメラでも5.1chマイクが付いているものもあって、実は新しい技術ではないのだ。

しかし、最近登場してきているのがアンビソニックという技術で、VRカメラと組み合わせて、好きな方向の音を目の前に持って来られる技術が登場している。
つまり、収録時にマイクの周り360度全てを録音しておいて、後の処理で取り出したい音の方向を定めることができるのだ。

耳元で囁くASMRが大人気

これまで立体音響を録音するには、かなり面倒だった。
まず、バイノーラルマイク(イヤホン型で自分の耳にセットする)は、まぁ、簡単な方だが、如何せん、自分の耳にセットして使うので録音するのが面倒というか、自分がマイクになって被写体ならぬ被録体に近づかないと行けなかった。ダミーヘッドというマネキンの頭の形をしたバイノーラルマイクもあるが、恐ろしく高価で、やはりでかい。長方形の箱の両側に人間の耳の模型をシリコンで作ったマイクもあるが、あれも不気味で使いにくい。
いずれにせよ、これまでのバイノーラルマイクは、別にレコーダーを用意しないとダメで、ケーブルを這わせるなど、なかなか面倒な録音になっていた。

しかし、このバイノーラルは、人の耳で聞いているのと同じ世界がヘッドホンを通して構築できる。それゆえ、本当に耳元でささやかれているような聞こえ方がするので、Youtubeなどで大人気のコンテンツになっている。

本格的アンビエント録音時代の到来だ

さて、ここからが本題で、アンビソニックマイクというのがあって、これは4本のマイクを組み合わせて周囲の音を立体的に録音することができる。こちらだと、先ほどのバイノーラル的な音(耳元で囁くなど)は、編集時に4つのマイクの音の組み合わせで作り出せる。普通のマイクと同じ形状なので、録音は格段に楽になった。しかし、これも高価だし、アンビソニック対応の録音機でないと後処理が面倒になる。さらにケーブルが4本も必要で、これまた面倒。しかも、収録時にマイクの向きを変えられない(つまりマイクブームが使えない)ので、なかなか厄介である。

H3-VRはマイク with レコーダー

さて、今回購入したH3-VRは非常に優れたマイクだ。レコーダーが内蔵されているので、ケーブル無しで録音できる。
さらに、加速度センサーが内蔵されているので、マイクの向きを自動検出してくれる。だから、マイクを動かしながら収録することも可能で、これが録音の世界をぐっと広げてくれる(はず)。
さらに、収録時にはいわゆるRAWデータで録っておいて、あとでバイノーラルにしたり、普通のステレオにしたり、VR用の音声にしたりすることができる。
さらに、面白いのが、アンビソニックで録音したものをH3-VRで再生するときに、H3-VRを動かすと、再生音もその向きに変わっていく。実はこれが画期的で、立体音響編集では、音の向きを変えるのがパソコン上でマウスぐるぐると面倒なのだが、編集済みのアンビソニック・ファイルをH3-VRに入れて本体をぐるぐるすながら、それを再録音すれば、立体編集があっという間に終わる(はず)。

などなど、実験は続きます。