シナリオと小説と

シナリオと小説は似て非なるもの。
今、有名俳優さん多数出演の映画の編集をしているのですが、元のシナリオが不完全なまま撮影してしまったんですね。
なので、編集時に粗が出てくるのです。
4人の人物が並行しているんだけど、どうしても一人だけ別ストーリーになっちゃっている。

そこで、編集でいろいろ工夫して、その一人を他に絡める工夫をしています。

シナリオ作家とは

シナリオの勉強をすると、まず第一に、後で解決されないシーンを作らないこと、というのを習います。つまり、映画はすべてお金で出来ているので、無駄なシーンを作らないというのが当たり前なんです。
もちろん、無駄なシーンに見せていて、後で大どんでん返しというのは、これはむしろ推奨されます。
でも、今回のようにオムニバス的にできているのに、他と連動していないストーリーの流れというのは、結局はただのシーンの寄せ集めであって、結末がボヤけて何が言いたいかが、つまり、結末のインパクトが薄れちゃうんですね。

シーンの入れ替えを多用

シナリオがボケているので、編集時にシーンの入れ替えをかなりやりました。また、全体の流れに関係ない唐突なエピソード(シーン)もカット。
そして、全体が1つの方向に集約されるように再構成しました。
つまり、元のシナリオとはかなり違うものになります。でも、セリフや舞台は同じなので、全体としては元のシナリオが生きています。

ただ、シナリオの時点で曖昧だったテーマや主人公(たち)の主張などは、編集によって味付けされ強調されます。

独白でカバー

これはテクニックなのですが、シーンを入れ替えると、当然のことながら話のつじつまが合わなくなります。そこで、シーンの合間合間にナレーションを入れます。それによって、シーンの継ぎ目を縫い合わせるのです。

逆言えば、みなさんが見る映画で独白(ナレーション)がたくさん出てきたら、それはシナリオが不完全か、もしくは相当長くて、シーンをつぎはぎしたということかもしれませんよ。

ということで、もうすぐ、映画編集が完成します。

シナリオと映像編集とカードメモ帳

今、映画の編集をしています。脚本は別の人です。
撮影には録音部で参加したんですね。
そのまま編集も任されることになったわけです。

編集していると脚本を変えなくてはいけないことも

さて、編集が進むとシナリオの穴が見えてきます。完璧なシナリオなんてものは神様しか作れないので、穴があるのは当たり前です。
その穴をどうするのかが編集の仕事なのですが、根本的にシナリオの流れも変えなくちゃいけないこともあります。

今回のケースでは、4人の主役が並列に動いています。まぁ、こういうシナリオは書かない方がいいんですけどね。オムニバスならなんとかなるんですが、完全に並列で流すと、かなりわかりにくくなっちゃう。

そこで、編集を工夫して、オムニバスっぽい流れにしつつ並列を保つ作戦にしました。でもね、そうなるとセリフが足りなくなっちゃうんですよね。

カード型のメモを活用

さて、執筆に関わるお話をしましょう。

シナリオというのは、シーンの積み重ねです。シーン1つ1つは、相互に関連しつつも個別に完成した小さな物語です。シナリオライターは『箱書き』という手法で、シーンの順序をどうするか考えるという技を使います。シーンの順序を変えるだけで、物語が劇的に変化するのです

そこで僕が使い始めたのが『カード型情報メモ』です。図書館の図書カードを思い浮かべてください。厚手のカードで、サイズは5インチ✖️3インチが標準です。13cm×8cmくらいですかね。
メモ書きをこのカードに行います。それを並べて見渡すのです。Scrivenerでもコルクボードという機能がありますが、それをアナログでやるわけです。
このカード式のメモは、星新一さんが多用されていたことはよく知られています。

ということで、皆さん、カード式のメモ、やってみましょう。