衝動買いに限りなく近いのですが、映画録音部の桜風さんが、ZOOM H3-VRを購入。
夕方に届いて、ちょっとずつテスト中です。
立体音響って何だ?
立体音響というのは、映画館で耳にする、音が空中を移動したり、耳元で囁く音が聞こえたり、後ろで物音がする、なんていう音の世界のことだ。映画では5.1chサラウンドというのがあって、もう、古くから使われてきている。ビデオカメラでも5.1chマイクが付いているものもあって、実は新しい技術ではないのだ。
しかし、最近登場してきているのがアンビソニックという技術で、VRカメラと組み合わせて、好きな方向の音を目の前に持って来られる技術が登場している。
つまり、収録時にマイクの周り360度全てを録音しておいて、後の処理で取り出したい音の方向を定めることができるのだ。
耳元で囁くASMRが大人気
これまで立体音響を録音するには、かなり面倒だった。
まず、バイノーラルマイク(イヤホン型で自分の耳にセットする)は、まぁ、簡単な方だが、如何せん、自分の耳にセットして使うので録音するのが面倒というか、自分がマイクになって被写体ならぬ被録体に近づかないと行けなかった。ダミーヘッドというマネキンの頭の形をしたバイノーラルマイクもあるが、恐ろしく高価で、やはりでかい。長方形の箱の両側に人間の耳の模型をシリコンで作ったマイクもあるが、あれも不気味で使いにくい。
いずれにせよ、これまでのバイノーラルマイクは、別にレコーダーを用意しないとダメで、ケーブルを這わせるなど、なかなか面倒な録音になっていた。
しかし、このバイノーラルは、人の耳で聞いているのと同じ世界がヘッドホンを通して構築できる。それゆえ、本当に耳元でささやかれているような聞こえ方がするので、Youtubeなどで大人気のコンテンツになっている。
本格的アンビエント録音時代の到来だ
さて、ここからが本題で、アンビソニックマイクというのがあって、これは4本のマイクを組み合わせて周囲の音を立体的に録音することができる。こちらだと、先ほどのバイノーラル的な音(耳元で囁くなど)は、編集時に4つのマイクの音の組み合わせで作り出せる。普通のマイクと同じ形状なので、録音は格段に楽になった。しかし、これも高価だし、アンビソニック対応の録音機でないと後処理が面倒になる。さらにケーブルが4本も必要で、これまた面倒。しかも、収録時にマイクの向きを変えられない(つまりマイクブームが使えない)ので、なかなか厄介である。
H3-VRはマイク with レコーダー
さて、今回購入したH3-VRは非常に優れたマイクだ。レコーダーが内蔵されているので、ケーブル無しで録音できる。
さらに、加速度センサーが内蔵されているので、マイクの向きを自動検出してくれる。だから、マイクを動かしながら収録することも可能で、これが録音の世界をぐっと広げてくれる(はず)。
さらに、収録時にはいわゆるRAWデータで録っておいて、あとでバイノーラルにしたり、普通のステレオにしたり、VR用の音声にしたりすることができる。
さらに、面白いのが、アンビソニックで録音したものをH3-VRで再生するときに、H3-VRを動かすと、再生音もその向きに変わっていく。実はこれが画期的で、立体音響編集では、音の向きを変えるのがパソコン上でマウスぐるぐると面倒なのだが、編集済みのアンビソニック・ファイルをH3-VRに入れて本体をぐるぐるすながら、それを再録音すれば、立体編集があっという間に終わる(はず)。
などなど、実験は続きます。