正しいヘッドホンがないと録音に失敗するのココロだ。

映画の録音部が使うヘッドホンについて解説しますね。
いい音を録音するのに、いいヘッドホンが必須です。どんなにいいマイクを使っても、ヘッドホンが悪いと正しいセッティングやボリューム調整ができません。

正しい音、綺麗な音、好きな音について

音は、人によって年齢によって好みが非常に分かれます。また、どのくらいのボリュームで聞くかによっても、ヘッドホンの選び方が違ってきます。
最近は数十万円なんてイヤホンもあって、選ぶのが難しいですよね。そんでもって、まず、基本から解説します。

音には、『正しい音』『綺麗な音』『好きな音』の3種類

『正しい音』とは、原音に近い音のことです。原音に近いというのは、元の音があって、マイクがあって、録音機があって、再生機があって、ヘッドホンという順番に音が変化していきます。高性能なマイクというか原音に対して適切なマイクで、適切な録音をして、録音されたものをそのまま再生して、それをヘッドホンでそのまま聞くことができる。これが正しい音です。
わかりますかね?
簡単に言えば、録音する場所で聞いた音と同じ音に聞こえるのが『正しい音』です。

次に、『綺麗な音』というのは、デジカメで風景を撮ると実際の見た目より綺麗に見えることがありますよね、あれと同じで原音は大したことがなくても、そのヘッドホンで聴くと綺麗に聞こえるというものです。単純にいうと、耳障りな音は消し、心地よい音は大きくするヘッドホンです。高価なヘッドホンは、こういうタイプの製品です。

最後に、『好きな音』というのは、個々人の好みの音ということです。例えば低音がズシンズシン響くようなヘッドホンです。 多くのメーカーが、他社との差別化をするには、この種類のヘッドホンを研究開発することになります。

ここで考えてみてください。正しい音のヘッドホンを作るとしたら、どのメーカーのどの製品でも同じ音になりますよね。違いは掛け心地くらいになっちゃう。それじゃ商売にならないので、各社とも特徴を出します。どんなにへぼい音楽でも、それで聞けば『綺麗』『好み』という製品です。

もうおわかりのように、僕たちプロは、そんな『綺麗』『好み』では仕事をしません。『正しい音』が出るヘッドホンが必須です。

正しい音のヘッドホンは、汚い音が聞こえる

さて、実際に正しい音が出るヘッドホンの音はどんな感じでしょうか? 端的に言えば、汚い音が聞こえます。汚い音というのは録音の失敗で生じる音のことです。逆の言い方をすれば、正しいヘッドホンで汚い音が聞こえたら、それは録音の失敗です。
ですから、僕らは現場で、汚い音を無くす努力をします。その汚い音を見つけることができるのが業務用ヘッドホンとかスタジオヘッドホンと呼ばれるものです。
ソニーのMDR-CD900STというのが(トップの写真)、業界標準です。ただし、トップ画像のMDR-CD900STは改造してあって、より汚い音を見つけやすくなっています。

正しいヘッドホンで聞いて、自分の耳を標準化する

正し音(汚い音のない音)を正しいヘッドホンで聞くと、耳が鍛えられてきます。どんな音が正しくて、どんな音が汚いか(録音に失敗しているか)が分かるようになります。言い換えると、耳を鍛えないと、いい音(正しい音)を聞き分けられません。つまり、心地よい音(綺麗な音や好きな音)に騙されて、録音の失敗に気づかないのです。それを編集にかけると、汚い音が水面に浮かぶゴミみたいに、じわじわと上がってくるのです。これが録音の失敗です。現場では気づかないけど、失敗しているということです。

正しいヘッドホンを普通の人が聞くとがっかりする

さて、世の中には非常にチープなヘッドホンだけど、業務用ヘッドホンと同じ音がするものがあります。
『Panasonic RP-HT24(スタジオ仕様のロングコード&ボリューム付き)1200円程度』『Panasonic RP-HT40(携帯用折りたたみ式)700円程度』
この2製品は化け物です。後者は生産終了で、在庫があるだけだそうです。僕は予備に複数本買い溜めしています。
さて、この製品のレビューを読むと、ほとんどが低い評価です。
あはは、『綺麗な音』『好きな音』で耳が慣れている人には、ダメなヘッドホンに聞こえるんですよね、だって、汚い音が聞こえるから。でも、上記のように、このヘッドホンは『正しい音』を出してくれます。
唯一、このヘッドホンの弱点は、音が若干小さいことかな。ドライバという音が出る部分がちょっと小さいからかもしれません。それでも、業務用のレコーダーから大音量で音を出しても、歪まずいい音(正しい音)を出してくれます。素晴らしいヘッドホンだと思います。
僕だけでなく、エンジニアの評価も非常にいいヘッドホンです。
なので、もし、録音に興味がある、仕事にしてみたい、講演や演奏で録音しなければならないという人は、このヘッドホンを音をやや大きめにして聴きなが録音してみてください。このヘッドホンでいい音に聞こえれば、録音は成功です。

Panasonic RP-HT24(スタジオ仕様のロングコード&ボリューム付き)1200円程度

ふっくんラジオで作曲中

ふっくんのラジオ番組の中で、福島が楽しい地域だとアピールする狙いで、福島をテーマにした歌を作ることになったんだ。

福島県郡山市って最近できた都会なんだぜ

福島県郡山市は、明治の殖産興業で開拓された地域で、猪苗代湖からきれいな水を引いてきて開墾されたんだ。北海道の屯田兵みたいなもので、明治維新で職を失った武士が全国から入植してきたんだ。
郡山地区は、もともと水が乏しい土地柄だったので、溜池がたくさんある地域でもあるんだ。それが安積疏水の完成で水が豊かな地域に生まれ変わったんだ。

猪苗代湖からの清らかな水で食用鯉を養殖している

明治以降の新しい街である郡山市は、稲作はもちろん、殖産興業の中心にもなった養蚕も盛んだったんだ。
そこで、絹糸を作る時に出る蚕の繭がたくさんあって、さらに、溜池も多かったので、そこに鯉の養殖がピッタリだったんだ。それでも今でも食用の鯉の養殖が盛んなんだ。市町村では全国1位の生産高だぞ。

『恋はパクパク』プロジェクトが始動!

そんな話をふっくんにラジオ内で説明すると、天才ふっくんが「恋はパクパク」って言い出した。キャッチーな言葉だよね。
そこで、「恋はパクパク」という歌を作ろうということになったんだ。
そんでもって、作詞は僕が先行して担当。それをたたき台にして、出演者みんなで仕上げていくというプロジェクトなんだ。

今回は端唄・民謡作戦だ!

小生は、江戸端唄の本條流の一門。この本條流は本條秀太郎先生が宗家で、僕は一番弟子の本條秀五郎先生の弟子。この家は、NHKの大河ドラマ『龍馬伝』で福山雅治さんに三味線を始動したり、民謡番組はもちろん、NHKの三味線講座などで活躍する演奏家なんだ。つまり、街のお師匠さんじゃなくて、国内はもちろん世界各国で演奏するプロ集団だ。
ということで、僕ももう何年習っているんだろう? 7年目くらい? 端唄の作詞はいくつかやらせてもらったりしていて、実は洋楽よりも端唄の方が得意なのだ。そんでもって、今回の「恋はパクパク」も、端唄の世界でやりたくなって、師匠の秀五郎先生の稽古場に突撃〜〜〜。

秀五郎先生の「恋はパクパク」は4月オンエア予定!

端唄や民謡の作詞には、非常にシンプルなルールがあって、そこに言葉を乗せていくんだ。
ああ、例えば、五七五七七って、歌でしょ。
端唄・民謡にも同じようなルールがあって、もっともシンプルなのは、
『三四四三三四五』
で、できているんだ。
例えば、『めでた、めでたの、若松様よ。枝も 茂れば 葉も茂る』(山形音頭)
なので、この山形音頭のメロディーに、
『恋は パクパク、君との 恋は 
 恋と いう名の 片思い』
って文字数を合わせればすぐに歌えちゃう。

ということで、
『恋はパクパク音頭』(金澤藤馬作詞)
恋は パクパク
君との恋は
恋という名の
片思い

恋は パクパク
アナタとワタシ
泳ぐ鯉なら
郡山

恋は パクパク
お前は、かわい
はぐらかすなよ
この思い

恋は パクパク
あんたは イケズ
恋はコクなの
知らないの?

恋は パクパク
本気さ 俺は
お前 欲しさに
通い舟

なんて作詞をして、秀五郎先生に、あの名曲に乗せて歌っていただいたんだ。すごいねぇ、一流の先生は、初見でレコーディングできるレベルの唄にしてくれたんだ。

箱根芸者が遊びにきたぞ

そこにたまたま箱根の芸者衆が来ていて、それじゃ金澤さんも唄いなさいよ、ってなことになって、別の端唄に上の歌詞を乗せて先生と一緒にご披露。
語呂が合っているのですぐに別のメロディーでも歌えちゃう。
ここが端唄の面白いところ。
芸者衆もよく知っている『三下りさわぎ』というアップテンポの端唄に合わせて、みんなで『恋はパクパク・三下りさわぎ』の大合唱。
『恋はパクパク、ヤート! ヤートヤートぉ!』
いやぁ、楽しかったなぁ。
日本人なら端唄を覚えりゃ、替え歌で簡単にお盛り上がりできるんですよ。

この模様は、4月の『ふっくんの光リアル道(エフエム福島*毎週水曜夜9時)』でオンエアするつもりだぜ!

革の鞄と猫のおしっこについてのココロだ

お気に入りの鞄がありまして、iPad Pro 12.9′ 青がぴったりの革の鞄なんですよ。あの巨大なiPadがすっきり入る鞄がなかなかないもので、御徒町でさんざん探して買ったんですね。

お気に入りのDOUBLESのショルダーバッグ。牛革製。

床の上に置いておいたら、やられました。猫のおしっこ。
これが臭い臭い。革なので染み込んじゃってどうしようもない。

ってことで、猫好き家族の我が家、猫にやられた時の心得がありまして、アメリカ製の強烈漂白剤で煮るというか、熱湯+漂白剤に浸けてもみ洗い。でも、革製品で大丈夫かしらん?

染料が流れ出ること数十リットル

革を漂白剤につけると、染料がすごいすごい。いわゆる『タン』という染料ですかね、10リットルくらい入るバケツで20回以上洗ってはすすぎ、洗ってはすすぎ。
毎回、黄土色の水が出る出る。そして、猫のおしっこの匂いもぷーん。酸素系漂白剤に入れると、猫のおしっこの匂いが噴き出してきます。
さて、そんなこんなで2時間くらいかかって、先ほど、ようやく乾いてきたのです。

上の写真と同じ色だったんですが、今は、いわゆる牛革の色。もっと濃い色です。買ったばかりの状態では、革の表面に塗料が載っているような感じで、エナメルっぽい感じなんですね。でも、漂白されてすっかりそれが落ちて、今は牛革の風合いそのもの。
あらあら、むしろ、使い込んだ感じで好きかも。
さて、ラナパー(革用オイル)を塗り込みまして、ほつれなどチェックし、おお、大丈夫。革がひび割れちゃうかと心配でしたが、革自体は漂白されても元気な感じです。ああ、良かった。

まだ半乾きだけど、革製品らしい感じが増したかな。

映画録音部を15年やってわかったこと

録音の世界はなかなか奥が深く、理解するには想像力が必要です。カメラの露出も似ていますが、音は目に見えないので露出以上に説明が難しいですね。

人間の耳の特徴は聞き分け能力にあり

人間の耳はよくできていて、雑踏の中でも聞きたいものを聞き分ける能力がありますね。しかも、聞きたい音以外が聞こえなくなるほど、選別する能力が高くなっています。
ところが、マイクはそうなっておらず、単純に入っておく音を素直に記録します。これが厄介で、人間は生で聴いている音は選別できるのですが、マイクを通した音は聞き分けが難しくなります。ですから、マイクで録音するときは、人間の耳で聞き分けられる音質で録る必要があります。これが録音部の仕事なのです。もし、万能なマイクがあれば、録音部は必要なく、カメラの上にマイクを置いておけば良いのですが、実際には、そんなマイクは存在せず、録音されたものは、録音の仕方で大きく違う素材になっちゃうんですよ。

録音の3要素とは

繰り返しになりますが、録音された音は、人間が生で聴いている時の音とは違って聞こえます。それには『録音の3要素』が関係していると思います。

要素1:マイクの距離

1つ目は『マイクの距離』です。一番重要です。どんな高性能なマイクを使うよりも、適切な距離に置かれたマイクの方がいい音に聞こえます。遠くから音を録るのは実は非常に難しく、特に人の声は遠くから録ると「遠くの声」に聞こえます。例えば、カメラはアップで撮っているのに、声が遠くに聞こえては不自然ですよね。
それから、マイクが遠くなるにつれて、2つのノイズが大きくなっていきます。1つは環境音です。どんなに静かな部屋でも何かの音がしています。さらに、どんな場所でも音の反射があり、例えば喋っている声もマイクに直接届く音の他に、何かに反射してきた音が聞こえてきます。2つ目の残響音と呼ばれる音です。つまり、マイクの距離が離れるほど、環境音と残響音が聞こえてきます。
もう1つはマイクや録音機器の電気ノイズです。サーというホワイトノイズです。マイクが離れると距離の2乗に比例して音が小さくなります。声を収録するときにマイクの距離が2倍になれば音は4分の1になっちゃうので、マイクのボリュームを上げなければならなくなります。するとホワイトノイズが大きくなります。例えば口の前10cmが適正なマイクと1m離すと、音圧は100分の1(-2dB)になり、ノイズが100倍(+2dB)に増えます。
つまり、マイクが離れると、環境音、残響音、ホワイトノイズの3つが重なって、一気に聞き取りにくくなります。

要素2:マイクの向き

2つ目の要素として、マイクの向きが重要です。マイクは大きく分けて2種類あって広い範囲を同じような音に録れる『無指向性マイク』と、望遠レンズのようにターゲットを絞って録音する『単一指向性マイク』に分かれます。
指向性マイクは、マイク前方の狭いエリアの音だけを録音できます。ですから、上記の環境音と残響音を拾いにくくなり、結果的に狙った音が大きく聞こえます。さらに、単一指向性マイクはもともと感度が高いものが多く、ちょっと離れてもボリュームを上げる必要がありません。ですから、ほいワイトノイズも入りにくいわけです。それでも、離れれば離れるほど、上記の『マイクの距離』理論が目立ってきて、音が悪くなっていきます。
さて、そんな便利な単一指向性マイクには大きな欠点があります。マイクの向きが合っていないと急激に音が悪くなります。理由は『マイクの距離』と同じで、マイクの芯(狙った方向)から外れると急に音が小さくなるので、マイクのボリュームを上げなければなりません。すると環境音と残響音も大きくなっていきます。特にマイクの芯方向からの残響が極端に大きくなるので、芯を外した音はエコーがかかったような音になってしまいます
一方の無指向性マイクとは何でしょうか? ほぼ芯のないマイクのことで、胸につけるピンマイクが代表的なものです。電話のマイクも無指向性のものが多いようです。この無指向性のいいところは、適当にマイクを設置しても音質が変わらないことにあります。その代わり『マイクの距離』の影響を大きく受けます。つまり、無指向性のマイクは口元に近いほど音が良くなるマイクです。
このマイクの指向性を知らないと、ノイズだらけの聞きにくい音になってしまいます。

要素3:マイクボリューム

さて良い音で録音するための3つ目の要素は、ボリュームです。録音の世界もデジタル化されて、デジカメと同じように露出オーバー(白飛び)に弱くなりました。つまり、大きい音が入ってくると『バリバリ』と音が壊れて、何の音だか、何を喋っているのか分からなくなります。
そこで、録音ではメーターを見ながら適正な音量に調整することが重要になります。ビデオカメラや携帯のボイスレコーダーは非常に優秀で、この音量調整を自動でやってくれて、しかも高品質な音で録れています。ですから、素人がプロ用の録音機器を使って録るよりも、ビデオカメラや携帯のボイスレコーダーに任せた方が綺麗な音になることがほとんどです。
さて、適切な音量って何でしょうか? 実は非常にむずかしい。映画だと、遠くの音は遠くに聞こえたいし、ささやき声はささやきに聞こえたいですね。テレビ番組の音はそこまでシビアではないので、胸元のピンマイクで一定のレベルで録れレバ合格です。

煮え切らない書き方でごめんなさい。
プロ用の録音機で収録する場合、まず、大きすぎると音が壊れて使い物にならないので、それは避けます。一方、ボリュームを下げすぎてしまうと、編集時にボリュームを上げることになります。すると、先ほどの環境音・残響・ホワイトノイズの3つも同時に上がってきます。いわゆる汚い音になります。
さて、ここで問題なのは、仮に録音時に適切な距離、適切な向きで録音したとしても、音量が足りないと環境音・残響・ホワイトノイズが大きくなってしまうということです。
わかりますかねぇ?
環境音・残響・ホワイトノイズは、どんな場所でも必ずあります。環境音と残響は録音スタジオならほぼゼロですが、それでも存在します。適切な距離と向きで録ると、環境音・残響が小さくなるだけです。でも、録音された音が小さければ、それを大きくしようとすると環境音・残響・ホワイトノイズも一緒に大きくなるのです。

つまり、録音時の適正ボリュームというのは、編集時にボリュームを上げずに済む音量ということになります。でも、実は、これはそれほど難しくありません。このマイクは口元から何センチでボリュームいくつ、と決めてしまえば良いだけです。ですから、ラジオの収録スタジオは、ほぼ、そうなっていて、調整なんてほとんど必要がないのです。ピンマイクも同じで、ほとんど調整が必要ありません。
でもね、映画の現場は、そうはいかない。なぜなら、役者が下手だから。うまい役者ならボリューム調整はほとんど要りません。ところが下手な役者は、声の大きさがまちまち、急に叫んだと思ったら、急にウイスパーボイスになる。同じボリュームじゃダメなんです。特にダメなのがウイスパーボイス。ボリュームを上げなくちゃいけなくなるので、環境音が上がってきます。残響も増えます。足跡や衣摺れにも負けちゃいます。
下手な役者は、本当に囁かないと囁き声にならないのです。プロの役者は普通の声量で囁き声が出るし、そういう感情が作れます。下手な役者ほど、本当に怒らないと怒った気分にならないし、本当に囁かないと囁いた演技ができない。
この辺りが録音部的な役者の評価なんですが、それがそのまま映画の演技に現れて、一般的な役者の評価と一致しています。

来週は忙しいなぁ

来週は、1CM立会い、2映画プロデューサーとの会食、3ラジオ台本執筆、4ラジオ番組収録、5ラジオ番組編集・納品、6企業ドキュメンタリー撮影・編集、7映画制作部の打ち合わせと、まぁ、忙しい。
H3-VR立体音響マイクで遊びながら現実逃避しよう。

H3-VRのBluetoothユニット到着、便利か?

立体音響マイクのH3-VRに通信機能を持たせるBluetooth Adaptor BTA-1が到着。USBのBluetoothユニットかと思ったらZOOM社独自仕様のコネクターなのだ。
写真のように、ちょいとむき出しなので現場で心配だなぁ。落としてここをぶつけたら中身が壊れそうな気がする。

接続は簡単でアプリもシンプルで操作性がいい

このBTA-1を付けると、スマホのアプリからH3-VRを操作することができる。H3-VR本体でのせって変更は横並びの小さなボタンを押しまくるので面倒なんだけど、アプリの操作は非常に快適だ。できることは本体とほぼ一緒だ。このユニットを付けていると、H3-VRの起動時に砂時計マークが出る。ユニットの初期化などをやっているんだろうね。その分だけ起動が遅くなるけどね。
H3-VRから離れた場所から録音の開始・停止ができるのは便利で、なおかつ、本体を触らなくていいので、触った時のタッチノイズが入らないのも助かる。

音も飛ばしてくれたらなぁ

遠隔で操作できるのは有難いものの、肝心な音は無線で飛んで来ない。音まで飛ばしてくれれば完全なリモート収録ができるのになぁ。
これはZOOMのF8nでも同じで、この高性能レコーダーもアプリを介してスマホやタブレットで遠隔操作が可能だ。しかし、音は飛んで来ない。
まぁ、音だけなら別に無線の送受信機を付ければ済むので、プロの現場ではなんとかなるけどね。

絶対に必要かどうかは、意見が分かれるよね

このBTA-1は、別売りオプションなんだけど、まぁ、確かに必須の機能じゃない。というのも、一度セッティングしたら後は録りっぱなしなので、普通は必要ないかもしれないっすね。
でも、一番素晴らしいのは、録音中にマイクゲインを自由に変えられること。しかも、マイクに触る必要がないので、上記のタッチノイズも気にしなくていい。
ライブ演奏などで、マイクをセッティングした後、演奏が始まって音量がリハーサルと違うなんてことはよくあることなので、それを遠くからピークメーターを見ながらゲイン調整できるのだから、そりゃ有難い。しかも、録音中にアプリを閉じてもH3-VRは録音を続けるし、後からアプリを立ち上げても、自動的に再接続してくれる。もちろん、アプリの切断・再接続でノイズが入ることはない。

ということで、小生はBTA-1を買って正解だと思っているぞ。

H3-VRレビュー(2)喫茶店で環境音を録る

千葉の中途半端な田舎町の駅前ですが、SEIKODOという喫茶店があり、ここのコーヒーが非常に美味しいのですよ。もちろん自家焙煎、店主の気合が伺える。ここでH3-VRのテスト中なんだ。

H3-VRを持ち出して遊び中

店中、焙煎機の音であふれている。BGMは小さめ。
ここで環境音の録音テストをしている。
どのくらいのゲイン(マイクボリューム)がいいのか、キーボードを叩く音とのバランスなど、映画の録音を想定して実験中。

H3-VRは机の上に置いて録音しても気にならないね

さて、実際に録音を始めているけど、なんとも言えない可愛いボディーなので、みんな気にならないみたい。アロマポットみたいに見えるなぁ。
これまで、いろいろなマイクを使ってきたけど、これほど環境に馴染むマイクも珍しいですね。
普通のマイクは、棒状なので、録る向きが気になるというか、マイクを向けられている方向が分かっちゃうので、それが場の空気を緊張させるんだけど、H3-VRは全然大丈夫だなぁ。これもマイクとしては面白いと思いますね。

H3-VRは本当に人間の耳で聞いているのに近いぞ

さて、環境音をいろいろ録ってみて感じているのは、人間の耳で聞いているのに本当に近いということ(バイノーラル再生)。おそらく、ノイズレスだからだと思います。
マイクゲイン(マイクボリューム)をどのくらいにするかが、録音の最重要なポイントなのですが、ノイズが少ないので、環境に応じた好きなゲインにできるのが嬉しいですね。
他のZOOM製品のマイクゲインは、ボリュームのメモリで6〜7割くらいが美味しいのですが、たぶん、このマイクもマイクゲインで60〜70がいいのでしょうねぇ。60だと環境ノイズが-36dB以下になるので、編集時に取り除くのが楽です。この状態でマイクから50cmでの人の会話がピーク-6dBくらいになるので、ちょうどいい感じです。
上の写真はゲイン80と相当大きなボリュームになっていますが、自然な感じで録れています。

H3-VRは自立するのがいい

さて、実施に街中で使っていて一番良いと思ったのは、マイク自体が自立しているということです。普通のバイクだとスタンドが必要だし、マイク付きレコーダーでもやはりスタンドが必要です。これが意外に人の目を引くのと、録音の妨げになります。先ほども書きましたが、マイクの方向が録音には重要になるので、何を録るのかをはっきりさせないといい音が録れません。しかし、H3-VRの場合には、ただ机の上に置いておくだけでなんでも綺麗に録れます。狙いは後(編集)で決めればいいのです。これは非常に有難い!

H3-VRレビュー(1)

立体音響(アンビソニック)マイクのH3-VRを一晩使ってみて、とりあえずのレビューです。

低ノイズで高感度マイク

まず、さすが最先端のデジタルマイクだけあって、これまでのアナログ音響機器とは比べ物にならないほどの低ノイズ&高感度なマイクになっているぞ。アンビソニックじゃなく、普通のステレオマイクとして使っても遜色がない。これは放送品質というか、映画の録音でも、他の名機と呼ばれるマイク+レコーダーに負けない品質だと思う。それが3万4千円なのだから、いやぁ、びっくり。

H3-VRは、収録後にマイクの向きを自由自在に変えられる

映画の撮影現場でも活躍しそう。例えば2人の役者が向かい合って会話するシーンで、二人の間にH3-VRを置けば会話が綺麗に録れる。それだけなら普通のマイクと同じなのだが、H3-VRは編集時にマイクの向きを変えられる。これがすごい。
これがなぜ良いかというと、映画のロケ先では、スタジオと違って様々な環境音が溢れている。エアコンの音だったり、屋外の自動車だったり、工場が近いと唸りが聞こえるし、飛行機も来る。
そんな状況で無指向性のマイク(全方向からの音が録れる)には、そんな雑音がどんどん入っちゃう。だから、映画の現場ではショットガンマイクという狭いエリアだけ録れるマイクを使うんですよ。エリアが狭いから雑音も減るわけです。でも、エリアが狭いから、上記のような2人の会話だと、台詞ごとにマイクの向きを変えないといけない。これが結構大変で、職人芸になるのです。
でも、H3-VRならマイクを固定しておいて、編集時に喋っている方へマイク方向を変えれば良い(音のフォーカスを合わせるって感じ)だけ。まぁ、編集が大変になるわけですが、実際には大したことはないですな。

H3-VRのファームウェアに不具合あり=メーカー開発中(2019/03/08現在)

さて、出たばかりのH3-VRですが、ファームウェアにバグがあって、起動時にハングアップすることがあります。これはメーカーに確認済みで、現在、ファームウェアの調整中とのこと。近いうちに改良版を出すそうです。

どんなバグかというと、設定項目『リミッター=オン』かつ『(再生時)バイノーラル=オン』になっていると起動時にハングアップすることがあります。僕もなんどもハングアップして、メーカーに問い合わせて、上記の回答をもらいました。SDカードを刺さなければハングアップしない気がしますけどね。
何れにせよ、メーカーが修正中なので、待ちましょう。大したバグじゃないので。

物書き歴30年、ストーリー・本の書き方・キャンピングカーのことを書いてます。