生活音を録音するというのは、結構難しいのです。
自然な音で録るには、マイクの設置をちゃんとしないといけない。
ショットガンマイクだと、一定方向の音だけしか録音できないので、部屋の隅に設置するなど、工夫が必要です。
でもね、H3-VRなら、部屋の真ん中に置けばいい。
それだけ。VRマイクは、面白いね。
生活音を録音するというのは、結構難しいのです。
自然な音で録るには、マイクの設置をちゃんとしないといけない。
ショットガンマイクだと、一定方向の音だけしか録音できないので、部屋の隅に設置するなど、工夫が必要です。
でもね、H3-VRなら、部屋の真ん中に置けばいい。
それだけ。VRマイクは、面白いね。
H3-VRの録音は、まず、普通のマイクの基本を抑えることからね。
マイクの基本として、マイクにも焦点距離があるということが重要だよ。
通常、被写体からの距離は50cmが基本となる。これはボーカルマイクなどのハンドマイク以外は、ほとんどが50cm位。そこから離れると残響や環境音の影響で音がボケてゆく。
近い方は10cmくらいまで。それより近づくと近接効果といって、低音が強調されてくる。
マイクボリュームはレベルメーターで正確に
マイクボリュームも重要だ。レベルメーターの見方は難しいのだけれど、当然の事ながらレベルオーバーは禁物。じゃあ、どのくらいにするかというと、喋っている場合には、ピークが−3dB程度まで。およそ、−6dBくらいを上下しているくらいがいい。
もっと正確にいうと、テレビ番組では−12dB前後にする(テレビは低めなんだ)。YouTubeなどのネットでは、上記の−6dB程度ね。
録音フォーマットは、通常は48kHz24bitで十分。16bitでも問題ない。24bitにする理由は、あとで音を加工(ノイズ除去など)する場合のマージン。もしくは、イベント会場などで音のダイナミックレンジが広い(巨大なおとと小さな音が混在している)場合にも24bitにして、レベルを低めに録音しておく。
サンプリングレートは48kHzで十分だ。楽器では96kHzもあり得るけど、まぁ、マイク性能からすると48kHzで十分だ。ちなみにサンプリングレートは、録音の最高周波数に影響する。サンプリングレートの半分程度が最高周波数になる。
通常の録音では48kHzの半分の24kHzで十分。というか、普通のマイクは20kHzまでしかいい音じゃないし、録音できないのだ。
なお、ファイル形式は5種類あるけど、僕はPremiereで編集するのでAmbiX形式にしているぞ。
H3-VRは360度マイクなので、まぁ、マイクの向きや画角を気にしなくていい。
ちなみに、普通のマイクには画角があって、高価なショットガンマイクでも、画角は60度くらいあって、標準レンズくらいの画角だ。望遠マイクなんてのは、世の中には存在しないよ。
H3-VRの場合、立体なので気にしなくてもいいと言えばいいんだけど、それでも主要被写体に対して正面を向けておくと、再生した時の定位が正面になる。H3-VRは通常のステレオ再生の他にバイノーラル再生モードがある。その時にマイク正面が中心正面で再生されるんだよね。
ただし、パソコンアプリで定位は後から変えられるので、神経質になる必要ないな。
久しぶりに仕事でH3-VR-VRのテストをしているんだけど、本当にいい音だなぁ。ノイズは皆無だし、感度もいい。
立体感も悪くない。まぁ、バイノーラル録音という意味では、人間の頭をシミュレーションというか、人頭にマイクを仕込んだものに比べると左右の分離は小さいけど、それは後の編集でなんとかすることができる。
自然の音を録音する場合、これほどいいマイクはないんじゃないかなぁ。特にスマホからコントロールすると、マイクから離れて録音できる。これも非常にありがたい。
スマホからは、マイクボリュームやヘッドホンボリュームも変えられる。ただし、音声は別に無線で飛ばさないとダメ。安いBluetooth送受信ユニットで十分だ。
小さく軽く、単三電池で長時間運用ができる。
しかも、恐ろしく安いし!
録音のプロとしてH3-VRを使ってきたので、久しぶりにレビューを足してみよう。というか、H3-VRのアクセスが多いので、それにお応えします。
まず、音質と感度だが、非常にいい。マイクの電気ノイズ(ホワイトノイズ)は皆無で、感度も非常にいい。プロの三味線の演奏を録音したことがあるが、微妙な皮の響き、サワリの音(弦の倍音を強調する機構)もバッチリだった。同時に端唄の歌声も非常によく録れた。
つまり、マイクの性能がいいということである。ただ、マイクの性能というのは、カメラのレンズ選びに似ていて、万能ということはない。例えば、このVRマイクで遠くの音だけに的を絞って録ることは難しいし、部屋の残響が大きい場合には、立体感は損なわれてくる(音が周囲から回ってくるから)。ただし、後で説明するが、再生アプリで音のフォーカス位置を変えられるので、これは画期的だ(後述)。
ボディーが非常に可愛いので、ステージ上に置いても映像の邪魔にならない。これもこのマイクのメリットである。
会議で録音するのにもいい。完全な無指向性なので、どこからの音も同じ音質で録れるからだ。
さて。気になる立体感だが、実は何で聞くかで体感の立体感は異なってくる。これは数十万円のマイクであっても同じだ。
このマイクにはジャイロが組み込まれていて、マイクの角度も音声ファイルに記録されている。つまり、マイクのセッティングが非常に楽で、適当に設置しても、再生時には正しい角度(地面との角度)で聞くことができる。具体的に言えば、ジンバル付きのカメラ(例えばOSMOなど)と同じで、マイクがどの角度であっても、音は水平を保つのだ。もし、ジャイロがなければ、マイクを斜めにして録音すると、再生時にも音が斜め方向から聞こえてきてしまう。
人間の耳の形のVRマイクを斜めにしてしまったら、後処理が大変なことになってしまう。つまり、他のVRマイクの場合には、完全な水平を保って録音しなければならないということで、これは録音現場では時間がかかる原因になる。
さて、実際の音だが、H3-VR-VRにヘッドホンを接続した時に、ステレオ音声かバイノーラル 音声かを選ぶことができる。また、パソコン上では再生アプリで、同じようにステレオかバイノーラルかが選べるし、ファイル書き出しでも、同じくステレオかバイノーラルかを選べる。
バイノーラルはヘッドホン(VRヘッドホンならベスト)で立体音響をきく技術だが、H3-VR-VRは非常に良好なバイノーラル音声で録音できる。H3-VR-VRは再生時にもジャイロが働くので、例えばH3-VR-VRを頭の上に置けば、顔の向きに応じて音の向きも変わる。つまり、下を向けば下の音、振り向けば後ろの音というようにリアルタイムに変化する。高価なVRヘッドセットが無くても立体音響がH3-VRで楽しめるのだ。
一方のステレオ音声だが、これはスピーカーで聞く場合の音声形式となる。こちらは2つのスピーカーで立体音響をシュミレートするもので、もちろん、後ろからの音は後ろっぽい音になる。
H3-VR-VRのファイルを5.1ch音声へ変換すれば、当然のことながら後ろの音は後ろから聞こえてくる。5.1chへの変換は映画のサウンドで使われるわけだが、映画の現場でH3-VR-VRで録音するには、マイクをどう隠すかなど、課題が大きい。これはH3-VR-VRに限った場合ではない。一般的にはほとんど使われないだろう。
リコーのThetaなどのVRカメラとの連携も楽だ。標準でVRカメラに取り付けるマイクアダプターが付属していて、VRカメラと連携して録音することができる。つまり、カメラとマイクの向きや角度が固定される。これを専用アプリで立体音響ファイルとVR動画を合成することで、VRヘッドセットやスマホ+ヘッドホンによって、顔の向きに応じて映像と音声が移動する。
余談がだ、別売のDA-1というBluetoothユニットを使うと、遠隔からH3-VRをコントロールすることができる。音声は送られて来ないのが残念だが、録音レベル調整や録音の開始停止、再生開始などができる。レベルメーターやカメラの角度も表示される。音は別途に安いBluetooth送信機と受信機(共に2000円弱)で送ればいいので、遠隔録音ができる。
さて、H3-VR用の再生編集アプリは非常に便利だ。適当な向きで録音した立体音声を再生時に好きな向きに変えて聞くことができる。つまり、音のフォーカスを変えられるのだ。
例えば、円卓で会議をしている場合、喋っている人にフォーカスを変えて聞くことができるのだ。ただし、後ろの人の声が聞こえなくなるのではなく、フォーカスした人の声がオン(はっきりとした音)になり、後ろの人はオフ(遠くに聞こえる)ようになる。
2020年9月現在、2万円代で買える。これは素晴らしい。Zoom H8というレコーダーが発売になったが、これ用にVRマイクも発売されている。おそらくH3-VR-VRと同等の性能だと思う。
現在のところ、これほど簡単で高音質のVRマイク(レコーダー)は他にないと思う。