アマゾンでも2万円を切って中華製FFヒーターが買えるようになりました。
おそらく、自作で取り付けたい人が増えていると思いますので、取り付けのポイントと注意点をまとめておきます。
もっと言うと、バベストヒーター(自動車用FFヒーターの代表)の取り付け研修を受けたという業者の取り付けが、元のバベストヒーターの取り付け仕様にぜんぜん合致してなくて、それじゃ故障するだろ、というのをたくさん目にしてきたので、そういうトラブルに対しても警鐘を鳴らすために、バベストの仕様書と配管設備の有資格者から教えてもらったことを書きます。
FFヒーターの取り付けの基本
1:吸排気管のとりまわし
2:本体の取り付け方法
3:本体の取り付け角度
4:燃料の供給方法
大きく分けると、上記の4つをクリアしなければなりません。バベストの仕様書には、特に排気管の取り回しについて細かく指定があります。日本の業者のほとんどが、この仕様を無視しているかぜんぜん知らないようです。
排気管の取り回しの基準
排気管はなるべく曲げず最短距離に
排気管は、高温で有毒ガスを含む排気ガスを通すパイプです。
基本的にはFFヒーターを買うと付属しているステンレスの蛇腹管を使えば問題ありません。
仕様書では、最大の長さの指定、パイプを曲げるときの曲げ半径(5cm以上)、曲げ角の合計(270度まで)の指定があります。これは、急激な曲げや何度も曲げたルートを作ることによって排気ガスが排出されにくくなることを避ける目的があります。
管を曲げることで抵抗が増え、その結果として排気ガスがスムーズに排出できずに不完全燃焼を起こして燃焼室内がススだらけになります。
できれば、曲げの回数を最小限度にして、さらには、なるべく短い経路で排気ガスを出したいものです。
ちなみに仕様書では、さいだい2mとされていますが、乗用車の場合には、この長さの中で取り付けができるはずです。
しかし、国内業者の施工例をネットで探ると、排気管がのたうち回っているものも見かけます。車の修理などはプロかもしれませんが、熱を持った配管に関しては勉強不足で、こんな業者に施工されると、次のポイントに挙げるトラブルが生じると思います。
排気管の傾斜が必須&結露対策
バベストの仕様書で強く何度も強調されているのが排気管の結露対策です。
車の排気管から大量の水が出ているのを見たことがあると思います。燃焼とは、燃料と酸素を結びつけて、熱と二酸化炭素と水を作る化学反応です。不完全燃焼(酸素不足など)が起きると、一部分が一酸化炭素になります。
問題は「結露」です。つまり、排気管には大量の水(水蒸気)が通過します。排気管が車外にあって急速に冷やされる施工だと、排気管に水が溜まりやすくなります。排気管は熱せられているから水が溜まらないと思っている人も多いのですが、車の排気管から水がジャージャーーと出ているのも見たことがありますよね。
FFヒーターを使うとわかるのですが、最低出力(それでも車内は30度にもなる)だと、排気管に触れる程度の温度に下がります。ですから、外が非常に寒かったり雪が降っていたりすると、排気管の中で結露して水が溜まります。
バベストの仕様書では、その対策として、排気管に傾斜をつけて自然に水が排出されるか、ヒーターの排気圧で溜まった水が外へ出せることを確認するように書かれています。
もし、配管に傾斜と付けられず、上向きに排気管を設置する場合には、一番低くなる場所に4mmの穴を開けて、排気圧で溜まった水が自動的に排出できるようにしろと書かれています。
さらに、極寒地で使う場合には、結露した水が凍って排気管を塞いだり壊すことを避ける対策として耐熱材で覆うことを推奨しています。
繰り返しますが、ヒーターの運転中には水が溜まらないと思っている人が大勢いると思うのですが、水が溜まるのはヒーター運転中です。排気管は長くなるほどすぐに冷えます。冷えるとすぐに結露するので、水の排出は必須です。
ですから、これを考慮していない施工業者がほとんどなので、非常に怖さを覚えます。特に、車体の下を排気管を這わせるのに、ボディーの凹凸に沿って上下に配管しえいるのには冷や汗が出ます。排気管は22mmか26mmなので、もし、配管の段差がパイプ径を越えると、パイプを水が完全に塞ぐことになるので、ヒーターの点火不良や排気効率低下による不完全燃焼が起こると考えられます。また、段差が仮に5mだとしても、結露した水が5mmの深さになり、排気管の開口部が5mm狭くなります。これだと、ちゃんと計算すれば正しい数値になりますが、22mmの排気管だと10%くらいの排気効率低下になると思います。
なので、バベストヒーターのメンテナンスを繰り返しても調子が悪いというのは、そもそも配管の取り回し効率の基礎ができておらず、その結果、結露対策ができておらず、排気効率が悪いのではないかと予測できます。
(続く)