映画の世界をちょっと紹介します。
映画は作品ごとに他人が集まる職場です。
多くの場合、初対面の人との仕事になります。
それでも、長年の仲間のように効率よく仕事をこなす必要があるので、独特な組織構造になっています。
1トップ3アシスタント制度
映画の話となると、一般では監督が誰で主役が誰でということになります。
でも、プロの現場では、カメラマンは誰で助監督は誰か、というのがかなり気になります。
そこで、映画組織の概要を紹介します。
映画は、助手3人組で出来ています。
例えば、撮影部は、
キャメラマンが総責任者で、その下に「チーフ」「セカンド」「サード」と3人の助手が付きます。それぞれに仕事が決まっているので、はじめて組む人間でも、やるべき事が明確です。
演出部も同じで、
監督をトップとして、助監督の「チーフ」「セカンド」「サード」となります。
照明部と録音部は、トップを「技師」と呼びます。技師の下に2人くらい助手が付きます。
ちょっと耳慣れない役職が「制作部」です。
実は、映画の現場で一番重要なのが制作部です。
役職で言えば、制作主任をトップに、制作担当という助手が何人か付きます。
制作部というのは、会社の総務みたいなもので、撮影場所の撮影許可や、必要な道具を集めます。
映画のスクリーン映るものと映らないもの
他にもいろいろな役職があるのでが、一つ重要な考え方を紹介します。
それは、映画が完成した時にスクリーンに映るものと映らないもので、組織が2分されているということです。その2つというのは「演出系」「技術系」です。
「演出系」とは、スクリーン映るものです。役者や風景や小物などです。演技をどうするか、何も役者に着せるか、何処で撮影するかなどは、すべて演出系です。さらに、何をどんな順番で撮るのかというもの演出系の判断です。 つまり、皆さんが映画として観ているものは、演出系の判断で選ばれた世界です。
これを現場では「カメラ前」という言い方をします。
その判断のトップは、助監督のチーフです。
一方、どんなカメラでどんな光の中で、どんな音で撮るのかという技術の判断があります。これが技術系です。技術の総責任者はキャメラマンです。照明部も録音部も、キャメラマンのオーダーで機材を用意しセッティングします。これを「カメラ後ろ」と呼びます。
監督は素人でもいい
この「演出系」「技術系」の用意した世界を最終的に判断するのが監督です。
極端な言い方をすれば、助監督とキャメラマンがプロなら、監督は映画の素人でもいいのです。
というのは言い過ぎですが、理想的な現場というのは、監督がイメージする映画を絵コンテにして、脚本と共に助監督とキャメラマンに渡します。助監督とキャメラマンは、その監督の世界を実現するためにカメラ前とカメラ後ろを準備します。例えば役者を空中高く浮かせる、という絵コンテに対して、どんな場所でどんな機材を使うのかを準備するわけです。
もし、監督が素人で絵コンテさえ書けない場合でも、脚本さえあればキャメラマンと助監督で準備ができます。ですから、映画は成立します。
つまり、監督は芸術家、助監督やキャメラマン以下は職人というのが映画の世界なのです。
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