酒を飲む酒3、書き出し!

 目の前には、背の高い鳳尾蕉が一本、小さな丘の峰に立っている。雄々しく尖った葉先は夜露に塗れて光る。
目を閉じると、そこには理想の女が立っている。女は鳳尾蕉の荒々しい幹に柔らかな手を伸ばし、指でさすっている。
そう、お前が理想の女なんだ、そうつぶやくと、女は微笑む。その音がさらさらと風に流れて俺の頬を流れる。それは涙に変わり心が揺れた。
お前が理想なんだ。
それほど美人でもなく、スタイルがいいわけでもない。しかし、理想の女なのだ。』

こんなことを考えながら、男が酒を飲み始めます。
今回の「酒を飲む酒」、ちょっと妄想が強そうです。

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